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ワンピースにみる日本人のアウトロー信仰

 【15//2014】

ワンピースの初回掲載は凄くよく覚えています
最初の掲載からこれは面白くなると確信しましたし
丁度萎みかけていたジャンプの勢いを取り戻す感覚がありました
ただし、その後、アニメ化されるや否やもの凄い人気になって現状に至り
以前から書いていますが、私は天の邪鬼ですので
世間が、それも、まあ、こんな事言うと怒られると思いますが
わけのわからない人達も意味不明に絶賛する始末で
そうなってくるとちょっと違うなという感じになってきて
当然、毎週一応チェックはしますが、あまり熱心に読まなくはなりました
引っ越ししてるとあれだけ多くなると単行本も扱いが困りますからね、売ってしまいました


私は、世代的に、所謂600万部を達成した週刊少年ジャンプ直撃世代でして
あの黄金期を感じながら少年誌を見ていた感じです
正確に言えば黄金期は若干世代が前になるのですが、それでも黄金期の勢いはまだまだ健在でした

因みに、そんなジャンプ黄金期の話をよく理解するには
草創期から黄金期までを作り上げた名編集長の西村繁男さんが書かれた

さらばわが青春の『少年ジャンプ』
さらばわが青春の『少年ジャンプ』 さらばわが青春の『少年ジャンプ』

さらば、わが青春の『少年ジャンプ』 (幻冬舎文庫) さらば、わが青春の『少年ジャンプ』 (幻冬舎文庫)


を読むことをお勧めします

これを読まずして、ジャンプ黄金期は語れないです
この西村さんの精神がジャンプを体現しており
これから外れるとジャンプは売れなくなり、踏襲するとジャンプが売れると感じます


ま、そんなジャンプの、最早、大黒柱とも言えるワンピースですが
それと日本人のアウトロー信仰についてふと思う事があります


これは10数年以上前にCSで放送された「平成極楽オタク談義」の海外テレビ漫画の回でも語られたことですが
日本人はアウトローに憧れがある
これは基本的に、公、つまり国家や政府をあまり信用していない所からきており
だから、何となく、不良やヤクザ等々の所謂アウトローが正義を無し
弱気ものを助け強きものをくじくような、本来ならば公がすべきことを代わりになして
それを見て大衆はある種のカタルシスを覚え、気持ちよくなるわけです
ですが、これが例えば、アメリカなら違います
アメリカの伝統的なヒーローは、同じように一般人なんですが
悪者は必ず逮捕され、警察に収監されます
これは、アメリカが政府を信用しているからなんですね
で、この違いは、完全にGHQの占領政策とそれに現在も追従してる戦後体制の影響であることは間違いないですが
まぁ、それを強いたアメリカが全く正反対なのは面白いですね

最近は、日本の漫画は世界で読まれていますからね
あと、アメリカのヒーローものもそれに推されてかそれほど人気がないようですので
世界的に価値観が変わってきてるのかもしれませんが
それでも日本の一般大衆の感覚とは違うのは確かだと思います

で、ワンピースに戻りますが
ワンピースもそういう所があります

最初、海軍VS海賊という簡単な図式だったものが、いつの間にか世界政府というものが出てきて
それに対している革命軍というものが出てきて
いつの間にか、世界政府は悪で革命軍や主人公達が正義のような、今や海軍までも正義の側にきてる感じです

これはやはりこういった日本の状況が影響を与えていると言い切れると思いますし
少なくとも、今の一般大衆の意識はまだまだそういったところなんだろうなと改めて感じます

これがアメリカなら、海軍まではあるかもしれませんが、世界政府までが悪に描かれることは無いと思います

物語として悪いとは思わないですし、そういう作品もあっても良いと思います
その方が作品自体に深みが出てきますからね
ただ、体制側は常に悪として描かれる作品が多く、全体的にもそういう傾向に偏りすぎてると感じます

共同体は様々な矛盾をはらむ事が宿命にもかかわらず、人は共同体なしに生存できない存在です
矛盾を理解しつつも、それを許容していくリテラシーと道義心が必要であるにもかかわらず
プロパガンダ的な役割を果たす事もある、そういった一般作品群が
あまりにも体制側を否定するものばかりを作り続け、それを持ち上げすぎると
共同体の維持に影響を与えかねないと感じます
今の日本はそのバランス感覚が非常に悪いと思います

まぁ、漫画ですから、そこまで真面目にとらえる必要も無いのですが
ただし、少年誌として、描くべき漫画というものはどういったものか?
西村繁男さんではありませんが、知識や経験と成長と共にその世代毎に見るべきもの、学ぶべきものがあり
少年誌には少年誌の範囲というものがあるように思います

少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、しかし、一里ぐらいはあると思います


ま、ワンピースとハンターに関しては、読者の世代が上がり過ぎちゃってるのも原因かもしれませんけどね
私は、そうなったら、青年誌、成人誌等に場所を移していくべきだと感じます

アウトローは確かにかっこよく見えるかもしれませんが
物語としてより深みを追うならば、更にその先まで描くべきでしょう
そうしなければ文字通り単なる絵空事に過ぎません
生存するということはそんなかっこよく勇ましく気持ちの良いものばかりでは無いと思います
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Category: サブカル

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